死を否定する”不死”に、運を否定する”不運”。
今回ご紹介する漫画は、そんな”否定”を能力とするキャラクターが登場し、「神」に立ち向かう物語『アンデッドアンラック』です。
『週刊少年ジャンプ』2020年8号から連載を開始した本作は、「次にくるマンガ大賞 2020」で1位を獲得した話題作です。
既刊は8巻であり、累計発行部数は130万部を突破。
上述したような”否定”という一風変わった要素がモチーフですが、展開は”王道”に近く、笑いあり涙ありと名作の要素を兼ね備えた作品です。
そんな『アンデッドアンラック』について、早速あらすじから見ていきましょう!
『アンデッドアンラック』あらすじ
物語冒頭、本作の主人公 出雲風子は、自ら命を絶とうとしていました。
線路の上を通る橋の上、風子は柵を越え、今にも下に飛び降りんとしています。彼女を止めようと人が集まりますが、決意の固い風子は包丁を振り回し、誰も近付かぬよう牽制。
さらに風子は、群衆に対かって「私の身体に触れると 不治の病気に感染して死ぬ!」という脅しの言葉を投げかけます。
そんな折、一人の半裸の男が群衆を飛び出し、風子の刃物に向かって自ら刺されに行きました。
刃物の刺さった腹を一切気にしていない様子の男は、先刻風子が言ったことを真に受けており、自ら風子の頬に触れることで”自殺”しようと試みます。
自身の頬に触れた男に対し、「くるよ… 不運が…!」と発した風子。
次の瞬間、突如として男が立っていた足場だけが崩れ、電車と衝突してしまいます。
電車との衝突を経てなお生きている男―― 彼こそもう一人の主人公 アンディであり、”不死”の能力を持つ人物です。
”不死”のアンディは、風子の”不運”に興味があるようであり、詳細を話すよう問い詰めます。
観念した風子は、自身の生い立ちを話し始めました。
遡ること10年、風子がまだ8才の頃。両親が海外出張で1週間戻れないことを受け、風子は出発前に沢山抱き締めてもらいます。
そして、2人を見送った10分後―― 原因不明のエンジントラブルにより、機体は爆発炎上。
風子の両親を含む乗客の全てが死亡してしまいます。
それ以降も、大小はあれど自身に触れることで周りの人間が傷ついていることに気付いた風子は、”普通の生”を諦めてしまったようでした。
そんな身の上話を聞いたアンディは、俄然”不運”への興味を強めた様子。そのまま風子を連れ去り、”不運”の詳細な条件を把握するため、廃墟へと移動しました。
地道なトライ&エラーにより、接触時間の長さと不運の規模の比例、など規則性を見つけていくアンディ。
次の段階に進むため、服を脱ぐように言い出したアンディでしたが、風子はたまらず逃げ出してしまいます。
アンディから逃げる道中、風子は瓦礫から飛び出したネジに引っかかってしまい、上着とニット帽が脱げてしまいました。
その結果、あまりに長い髪が露出してしまい、泣きじゃくる風子。
”不運”の能力のせいで、美容師に髪を切ってもらう事すらままならなかったようです。
そんな彼女を見たアンディは、自身が”不死”であることを利用し、散髪を始めました。
長い生の中で美容師経験もあったアンディは、風子の髪を見事に整えます。
ショートヘアーになった自身の姿を見た風子がアンディにお礼を伝えた瞬間、突如としてアンディの首が斬られてしまいました。
現れたのは、スーツ姿の数人の男たち。
アンディを斬った隻眼の男性は、自身らを「選ばれなかった否定者達や 世を害するUMA等を管理する者」と名乗ります。
”不死”のアンディの首を特殊なカプセルに詰め、風子ともども連行しようとするスーツの連中。
――そんな折、少しの時間差を経て、アンディの入ったカプセルに落雷が生じます。
無事カプセルからの脱出を果たしたアンディは、そのままスーツの男性らを仕留めてしまいました。
残るは風子を捕縛している隻眼の男性のみ。
隻眼の男性は風子の喉元に刀を突き付け、再生せずに首を寄越すよう要求しました。
アンディは素直に従い、自身の首を隻眼の男性へと投げつけます。
その瞬間、人知れず”最大不運”の起こし方を把握していた風子は、飛んできたアンディの頬に向けてキスをしました。
「くるよ! 不運が!!」と風子が笑うと、事態を察したアンディは「走れ!」と叫びます。
風子が走って廃墟を脱出すると、空からは巨大な”隕石”が。
隕石の衝突による凄まじい衝撃の中、”不死”であるアンディは無事生還してみせます。
ここから、”不死”アンディと”不運”出雲風子が「最高の死」を見つけるお話が始まりました。
『アンデッドアンラック』魅力
今までにない設定
本作の魅力は、主人公 出雲風子・アンディのような異能力者「否定者」にあります。
否定者とは、「不死-undead-」や「不運-unluck-」などのような「不〇-un〇〇-」という形式の名称がつけられている、世界に存在するあらゆる”理”を否定する存在です。
今までになかった斬新な能力設定であり、この点は他の漫画にない大きな魅力でしょう。
「不」や「un」から始まる単語は、例えば「不滅」や「unlimited」などと様々に思い浮かびますし、考察が捗るのもポイントです。
また、”否定者”は作中世界に存在する「神」によって与えられる能力であり、皆が何かしらの業を背負っています。
“不死”アンディは、あまりに長すぎる生ゆえに”死”を渇望し、普通の優しい少女だった”不運”出雲風子は、人との繋がりを絶たれてしまいました。
”否定者”ゆえのバックグラウンドはそれぞれのキャラクターに深みを与えるとともに、それぞれの目的を明確化しており、”否定者”という今までにない独特な設定にもかかわらず、違和感なく理解することが可能です。
かっこいい描写の数々
『アンデッドアンラック』のもう一つの魅力は、かっこいい演出、セリフの数々でしょう。
作中に登場する”否定者”の否定能力判明シーンや、UMAの初登場シーンなど、独特のフォントを用いた大ゴマが非常に特徴的であり、かっこいいんです!
また、風子の「来るよ、不運が」、アンディの「いいね! 最高だ!」などの、それぞれのキャラクターが持つ決めゼリフ/口癖も印象的。
決めゼリフの中でも最大限に盛り上がるのが、”否定者”が口にする「〇〇を否定する」というセリフです。
「私がお前を否定する」や「その正義を否定しよう」など、戦闘中に飛び出す”否定者”という存在ならではの決めゼリフがとにかく鳥肌モノ。
是非あなたも『アンデッドアンラック』の世界を体感してみてください!
『アンデッドアンラック』まとめ
以上、『アンデッドアンラック』についてご紹介しました。
過酷な業を背負った”否定者”たちが奮闘する『アンデッドアンラック』。
アツい展開や泣ける展開など、感情をストレートに揺すぶられる描写が多い、という特徴も持っている作品ですので、未読の方は是非チェックしてみてくださいね。
既刊は8巻とまだまだ手が出しやすいですし、今後アニメ化などのメディアミックスが予想される名作ですから、読んで損はさせませんよ!
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