集英社が誇る鬼才 藤本タツキ先生によって連載された漫画『チェンソーマン』をご存知でしょうか。
『週刊少年ジャンプ』2019年1号で鮮烈なデビューを果たした本作は、読者のド肝を抜く描写、展開の数々で、「2020年この漫画がすごい!」や「第66回小学館漫画賞」など、数々の賞を総ナメにしてきました。
良い意味で”ジャンプらしさ”を裏切る展開が多く盛り込まれている『チェンソーマン』は、行き着く暇もない怒涛の展開の数々が売りの漫画です。
今回は、そんな『チェンソーマン』の魅力や感想を極力ネタバレなしでお伝えします。
単行本第1巻のネタバレは含みますので、十分ご注意ください。
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『チェンソーマン』あらすじ
父の遺した借金によって極貧生活を余儀なくされていた主人公 デンジは、相棒悪魔のポチタと共に”デビルハンター”として生計を立てていました。
借金にまみれた最底辺の生活を続けながら、”普通”の生活に憧れつつ、生きるための日銭を稼ぐデンジ。
しかしある時、雇い主の裏切りによって、デンジと命すら奪われてしまいます。
雇い主が契約した「ゾンビの悪魔」により、無惨にもばらばらに切り刻まれてしまったデンジ。
そんな”普通”を夢見た最底辺の少年を救ったのは、相棒のポチタでした。
かつて傷を負っていたところをデンジに救われたポチタは、以降デンジの相棒に。極貧生活で苦楽を共にしてきたポチタは、デンジの”夢”の話を聞くことが好きだったのだと語ります。
相棒であるデンジの”夢”の続きを見るため、「チェンソーの悪魔」ポチタは、デンジの心臓となることを選択。
かくして「チェンソーの悪魔の心臓」を得たデンジは、人でありながら悪魔にも変身できる存在となり、自身らを刻んだ「ゾンビの悪魔」をチェンソーで斬り刻みます。
「ゾンビの悪魔」を制圧し終えた頃、現れたのは”公安デビルハンター”を名乗る女性 マキマでした。
人でも悪魔でもない少年 デンジを見たマキマは、「悪魔として私に殺される」「人として私に飼われる」という二択を課します。
デンジが気になったのは、飼われるにあたっての”餌”――すなわちご飯です。
問われたマキマが答えたのは、食パンにバターとジャム、サラダにコーヒーと、デンジが夢にまで見た”普通”の献立。
それを聞いたデンジは、「最高じゃあないっすか……」と返します。
こうして、デンジの”公安デビルハンター”としての新たな人生が産声を上げ、夢にまで見た”普通”の生活を得るための戦いが幕を開けました。
『チェンソーマン』魅力
魅力的な主人公
『チェンソーマン』の魅力は多々あれど、”最大の魅力”は何と言っても主人公 デンジでしょう。
連載1話目にして大量のゾンビを斬りながら「ギャアーハッハハァ!!」と笑う主人公は、『週刊少年ジャンプ』作品どころか、他のどの漫画を見てもデンジだけです。
高らかに笑いながら鮮血を浴びる様は悪役そのもの。しかしデンジは、ただ狂気的なだけではなく、優しさや少年らしさなどの人間味を併せ持っています。
長きに渡るド底辺の生活を味わったデンジだからこそ、ほとんどの事象は些末な問題です。
味方の裏切りという憂き目に遭っても、上司から酷い仕打ちを受けても、デンジにとってはどこ吹く風。
底無しの明るさとポジティブさ、そしてバカさを持ったデンジは、ある意味無敵の精神の持ち主であり、読み手にストレスを与えません。
しかし、そんなデンジにも問題はあります。それは、まともな人付き合いがなかったことに起因する、感情の欠落でした。
喜びや怒り、楽しみは全力で表出するデンジですが、悲しみの感情は稀薄であり、良く悪くもデンジが泣くシーンはポチタを喪う1話のみです。
極貧時代に人間の汚い部分を多々見てきたからこそ、人に執着することを無意識化で躊躇っているであろうデンジ。
しかし、そんなデンジも、巻数を追うごとに”家族”というものを理解し始めて――。
『チェンソーマン』は、”デンジの感情”にフォーカスを当てて読むのもオススメです。
映画のような演出
『チェンソーマン』の特徴的な魅力として挙げられるのが、映画のような演出とコマ割りです。
藤本タツキ先生は大の映画好きで知られている人物であり、『チェンソーマン』でも、前作の『ファイアパンチ』でも、「映画」や「映画館」がキーワードの一つとして登場しています。
圧倒的な作画能力と膨大なインプット、天性の才能で描かれる『チェンソーマン』は、漫画という媒体でありながらも、演出による臨場感が映画そのもの。
特に「レゼ編」と呼ばれる単行本5巻、6巻の中編は、多くのファンが「劇場で観たい」と熱望する程の完成度であり、「映画一本分の満足度」と言ってしまっても過言ではありません。
『シャークネード』に代表されるB級映画や、藤本先生が影響を受けた他作品(『アバラ』など)のオマージュも要所要所に散りばめられていますので、その辺りを意識しながら『チェンソーマン』を読むのもオススメです。
『チェンソーマン』第二部とアニメ化
今回ご紹介した『チェンソーマン』は、『週刊少年ジャンプ』2021年2月号を持って完結を迎えており、単行本も全11巻にて既に完結済みです。
しかし、完結したのは『チェンソーマン』という物語の”第一部”。
WEB媒体の「ジャンプ+」にて続編の連載が決定しており、藤本タツキ先生の織り成す『チェンソーマン』の世界はまだまだ終わりません。
加えて、時期は未定ながらも、既にアニメ化も決定しており、世界の『チェンソーマン』熱は今後も高まり続けること間違いなし。
アニメの制作会社は『ドロヘドロ』『呪術廻戦』『進撃の巨人 The Final Season』などを手掛ける「MAPPA」であり、ティザーPVは驚異の1000万回再生越えです。
アメリカの権威あるコミック賞である「ハーベイ賞」も受賞している『チェンソーマン』は、世界的にも注目の的。
アニメ・第二部の続報が待ち遠しいところです。
『チェンソーマン』読も!
本記事タイトルにもある通り、”新時代のダークファンタジー”の旗手として真っ先に名が挙がるであろう『チェンソーマン』。
『ファイアパンチ』や『ルックバック』などの藤本タツキ先生作品を既にご存知の方は勿論、そうでない方もド肝を抜かれること間違いなしの作品ですので、自信を持ってオススメします!
前述の通り、『チェンソーマン』は既にアニメ化・続編(第2部)制作が決定しており、今後更に勢いが増すこと間違い無しの作品です。
既刊11巻を読破するのは、アニメ・第2部を控えた今がチャンス!
是非チェックしてみてくださいね。
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